多摩獣医科病院のブログ

犬の歯周病治療の流れや治療後に飼い主が注意すべきことを解説します!

犬の歯周病治療の流れや治療後に飼い主が注意すべきことを解説します!

 

飼い犬を動物病院の歯科へ連れていきたいのだけれども、どのような治療が行われるのかが分からず不安な方はいらっしゃいませんか? 本記事では、動物病院の歯科を知らない人のために、犬の歯科処置の内容を紹介します。治療後に飼い主さんがすべきことや、犬の歯科処置やアフターケアの予備知識を学んでいきましょう。

歯科処置では事前検査が行われる

犬の歯科処置では事前検査が行われるのが通例です。逆に事前審査なしで治療に入ってしまう動物病院は不健全である可能性が高いです。

事前検査では目視だけでなく、レントゲンなどを使った本格的なものが行われます。犬に限らずペットの歯周ポケットは人の目だけでは見づらいですので、機械を使ったチェックが必須です。これを行わない限り、ペットの正確な症状を獣医師は把握できません。そのため、検査なしで治療に入ってしまいますと、必要な治療がスルーされたり、必要ない治療がされたりと、ペットの状態を余計に悪化させることにもなります。

また、歯科処置には術前検査として、身体全体を調べる必要もあります。通常の身体検査や血液検査に加え、超音波を使って身体を調べる動物病院もあります。いずれにしても、術前検査を丁寧に行わなければ、ペットが全身麻酔に耐えられる身体か判断できないのです。

歯科処置では全身麻酔が前提になるケースが多いです。身体に異常が残ったまま麻酔をかけてしまいますと、施術中に容体が急変し、命に関わります。そうした事態を未然に防ぐ意味でも術前検査をするかしないかを一つの目安にしてみてください。

歯周病の治療でも全身麻酔を伴うケースが多い

犬の歯科処置では歯周病の治療でも全身麻酔を伴うケースが多いです。人間の場合は、歯の治療をしたことがある人はお分かりかと思いますが、麻酔があっても口腔の一部にだけ麻酔をかけてもらう場合がほとんどです。しかしペットの場合は治療する部分が歯だけであっても全身麻酔が必要とされます。

ペットに全身麻酔をかけると聞いて不安に思う人もいるでしょう。しかし、人間と違い、ペットは言葉を話すことができず、痛みにも敏感で、獣医師という見知らぬ人に触られること自体を嫌うこともあります。麻酔なしで治療してしまうと痛みなどの不快感でペットが暴れて器具で思わぬケガを負う危険性があるのです。

また治療自体も、獣医師がペットの抵抗に遭うと集中力が削がれ、必要な部位に十分な治療ができません。例えば、歯科処置では歯石を取るだけでもスケーラーという特殊な道具が必要です。鋭利なハンド式と歯肉に痛みを伴う刺激が走る超音波式があり、どちらも麻酔なしでは犬が激しい苦しみで暴れてしまいます。

歯科を扱う動物病院の中には無麻酔による歯石除去を宣伝するところもありますが、これは本来ペットに対する治療において推奨されません。無麻酔を宣言している動物病院をあまりおすすめできない理由はここにあります。

事前検査から治療まで日帰りで行われることが多い

犬の歯科処置では全身麻酔を伴うことから、入院をしなければならないと考える人もいるようです。しかし実際は日帰りで済むケースがほとんどです。ただし施術当日はペットの朝ごはんを抜く必要があります。

全身麻酔後に改めて口腔内検査が行われます。レントゲン撮影も交えて歯並びから歯垢・歯石など異物のつき具合、歯肉、歯周ポケットの状態などをくまなく調べます。 獣医師はこのように丁寧なチェックを経て施術プランを決定します。

施術開始後は最初に口の中の消毒をします。治療にはスケーラーを使った歯石除去や、ルートプレーニングと呼ばれる歯石やセメント質などの汚れを排除する清掃作業、ポリッシングと呼ばれる歯の表面をきれいにするための研磨作業があります。

歯周病がひどく進んでいますと、抜歯や歯肉縫合など本格的な処置を施されることもあります。固いものを噛むなどで割れた歯は歯冠修復する場合もありますが、程度がひどいと抜歯するケースもあります。治療がひととおり済みますと、口腔内の洗浄が行われます。

飼い主のアフターケアも大切

治療が終わった後も飼い主によるアフターケアが重要です。折角歯周病を治してもらっても、デンタルケアを怠っていると再び歯周病が進行してしまうからです。ただし治療が終わった後は傷が完全に癒えるまでの約2週間を待ってからケアを始めましょう。

ただペットに噛まれたくない場合や、口の周りを触ることで嫌な思いをさせたくないと考える人もいるでしょう。 その場合はペット用の歯みがき粉を鼻先につけて舐めさせるところから始まり、綿棒やガーゼなどの柔らかいもので磨くところへ移行しましょう。犬が慣れてきたところで犬用歯ブラシを使ってください。なるべくヘッドの小さいものが推奨されます。

歯磨きの仕方がよく分からない場合でも、動物病院などでペットの歯磨き教室などのイベントで学べます。それ以外にも歯みがきガム、歯みがき作用のあるサプリメントやドッグフードも効果的です。

まとめ

犬の歯科処置では、レントゲンを使った歯の検査に加え、処置当日は術前検査を行います。歯周病の治療でも全身麻酔を伴うケースが多く、それに耐えられる身体かどうかを調べるためです。異常が見つかればそちらの治療を優先します。

治療中はスケーラーなどの特殊な機械を使い歯石などの汚れを取り除きつつ、歯周病や歯の欠損などがあれば相応の処置を行います。健全な動物病院は安易に抜歯を選びませんが、あまりにも症状が重いと最後の手段として抜歯が選ばれることがあります。治療が終わった後も傷が癒えるまでの2週間ほど待ってから飼い主のアフターケアを始めるのが重要です。

神奈川県川崎市宮前区にある「多摩獣医科病院」では犬、猫、うさぎを対象に総合的な治療メニューを扱っています。歯科に限らず一般外来、避妊治療、フィラリアなど感染症の予防などを扱っています。宮前区にお住まいの方でペットの健康に関することはどうぞ当院へお越しください。