多摩獣医科病院のブログ

犬も歯周病にかかるときがある! 予防のために飼い主ができること

犬も歯周病にかかるときがある! 予防のために飼い主ができること

 

犬の虫歯は人間よりはるかに少ないとされますが、歯周病にかかる場合はあります。飼い主さんが日ごろのケアにより、犬の口を清潔に保つことが求められます。今回は、犬の歯周病を予防するポイントを4つ紹介します。犬の口のケアを心得て歯周病に対処していただきたいと思います。

犬にも歯みがきの習慣を

犬にも歯みがきの習慣が必要です。これは犬の歯にたまった食べカスや歯石を取り除くためです。人間同様、歯ブラシで磨いて、犬の歯を常にキレイに保つようにしましょう。

しかし、実際に歯ブラシをしようとしても、自分の歯と違ってうまく磨いてあげられなかったり、犬が暴れたりして思うようにできない人も多いと考えられます。その場合は動物病院などで開かれている犬の歯みがき教室に参加し、正しいやり方を身につけましょう。

ペットショップなどには犬用の歯ブラシや歯みがき粉が販売されています。歯ブラシの中には電動も用意されていますが、音や振動で犬が嫌がることも考えられますので、説明書などをもとに慎重に扱いましょう。また、人間用の歯みがき粉は犬には刺激が強すぎるとされ、推奨されません。

人間は歯みがき後うがいをしますが、犬の場合は歯みがきシートで歯を拭きとってあげましょう。歯ブラシが届きづらい奥歯のケアは歯みがきガムを噛ませることでできます。

ほかにもタオルや犬用のおもちゃを噛ませて歯に適度な刺激を与えることでも、歯垢を落とせます。適度な噛み癖をつけるために、歯みがきガムを与える飼い主もいるようです。このように丁寧な歯のケアをすることで、歯周病やその前兆となる口臭の悪化を予防できます。

水分を与える

歯周病の原因として口腔内の乾燥も考えられますので、適度に水分を与えることも大切です。また、飲み残しの水は酸化していることが考えられます。毎日の取り替えを心がけるとともに、器もきれいに洗って衛生的な環境を保ちましょう。

人間と同じく犬も、摂取している水分が少ない、鼻づまりなどで息が苦しく口を開けている時間が長いなどの原因で口腔内が乾燥することがあります。そうなりますと、唾液が濃縮された結果、口臭がきつくなりがちです。生臭いなど不快なにおいが犬の口から漂い始めたら要注意です。

犬は夏場、体内から熱を逃がすために口呼吸をします。そのため、口腔内が乾きやすくなっています。脱水症状に対する配慮も兼ねて、ほかの時期よりも多めに水をあげることが大切です。エアコンで室温を適度に管理することも重要です。

飼い犬が口を開けて「ハア、ハア」と荒い息遣いをしているときは、すぐに水を与えましょう。水分補給は犬の口の健康を守る上でも重要です。

歯石除去

時には歯石を除去してもらうために動物病院を訪れることも考えましょう。

歯みがきなどで犬の口の中から歯石や歯垢、食べかすなどを多く取り除いてあげることも大切です。しかし、人間の手では奥歯などに残った歯石など、どうしても取り除ききれないものが出てきます。これが蓄積しすぎると悪影響が及び、口臭や歯周病へつながることがあります。

取り除かれないまま放置され、口の中で沈着してしまった歯石は、病院でスケーリングと呼ばれる歯石除去治療で掃除してもらえます。これにより、奥歯や歯周ポケットも含め、口内全体をまんべんなくきれいになります。

歯石除去のための動物病院選びには飼い主さんへの配慮があるかないかも見極めポイントです。スケーリング治療自体が雑であったりするケースもあります。健全な動物病院は、歯科衛生士が常駐しています。ほかにも事前診察をしたり、施設内の特徴や獣医師の言動などから不審な点がないかも見極めたりしてください。

ドッグフードやサプリメント

ドッグフードやサプリメントも犬の口の健康を気遣うのに重要です。ドッグフードは歯垢の発生を防ぐためドライタイプが推奨されます。素材、大きさ、形状などが歯に引っかかりづらいように工夫されているからです。中には、歯みがき作用を含んだドッグフードもペットショップに置いてあります。気になる人は動物病院の獣医師やペットショップの店員などに相談しましょう。

犬用サプリメントは口腔内にある善玉菌を含んだものが多いです。ブラッシングでの磨き残しが気になる場合は、サプリメントを与えることで口の中をきれいにし、口臭を防いでくれます。ほかにも、食べるだけで歯垢を除去できるデンタルケアサプリメントも市販化されています。

ドッグフードやサプリメントなどの工夫は、歯周病予防に重要視されています。犬がブラッシングや歯みがきシートを嫌がる場合は、ドッグフードやサプリメントなどでの代用も考えられます。

まとめ

犬の歯周病は、歯垢、歯石などが蓄積しすぎた結果、口腔内の環境が悪くなることが原因です。口の中が乾燥しすぎていたり、口臭がひどくなったりしていても要注意です。

歯周病を防ぐには犬の場合も歯みがきを習慣づけることが大切になります。時には病院を訪れて、磨き残しで多くたまった歯石を獣医師に取り除いてもらいましょう。水分を与えたり、ドッグフードやサプリメントを厳選したりするなどの気遣いも重要です。犬の口をきれいに保つため、できる限りのことをしてあげてください。

神奈川県川崎市宮前区にある「多摩獣医科病院」では歯科にも力を入れています。一般外来や避妊治療などをはじめ、犬、猫、うさぎを対象として、総合的な医療を揃えています。 口腔内の健康は全身の健康にも影響します。ペットの歯科に関することはどうぞ当院までお気軽にご相談ください。