多摩獣医科病院のブログ

動物病院でのICUの必要性 〜動物の命を救う大切な機器のメリット〜

動物病院でのICUの必要性 〜動物の命を救う大切な機器のメリット〜

 

動物病院も医療技術が発達し、最先端の治療機器を導入している病院も多く登場しています。このような最先端の治療を行っている動物病院ではICUを導入しているケースも少なくありません。ICUといえば、重症患者の人間が治療をするための施設ですが、人間だけではなく動物用のICUもあるのです。それでは動物病院のICUとは一体どのような設備でどのような特性を持っているのでしょうか。

ICUの必要性

ICUとは「集中治療室」のことでIntensive Care Unitの略です。重篤な急性機能不全に陥った場合に24時間体制で管理し、より効果的な治療を施すことを目的とする設備です。動物の中には連れて来られた時にはすでに一刻一秒を争うケースもあります。場合によっては設備の機能が整っておらずに命を落としてしまうケースもあります。一方で、ICUに入れたことで救われた動物もいます。

このような瀕死の状態の動物を救うためにはICUは必要不可欠で、動物病院でもICUのおかげで多くの動物を救うことができた病院もあります。日本は他の先進国に比べてペット後進国といわれています。ペット先進国の仲間入りをするためにもICUは動物病院に必要不可欠な設備であるといえるでしょう。

ICUのメリット

ICUのメリットは動物の回復を早めることができます。ICU機器にもよりますが、ほとんどの機器で酸素濃度、温度調整を行うことができるため、動物の治癒力を高める働きがあるのです。またICUは個別毎に温度や酸素濃度設定を行うことができますので、一度に複数の動物を管理することも可能です。

また、停電時でもICUとして機能することができるように太陽光発電を活用したICUも登場しています。このような設備があれば停電時でも安心して治療に専念することができるというメリットがあります。ICU機器を取り入れることで動物の健康状態を回復させ、今まで救えなかった命を救うことができる確率が高くなりますので、飼い主さんとしてもICU機器のある動物病院を選ぶべきであるといえるでしょう。

費用

ICUは動物にとってメリットが多いもののデメリットもあります。導入自体にコストがかかるので治療費も高くなります。治療費は動物病院によって異なりますが基本1日あたり1.5〜3.0万円程度かかるといわれています。しかし、これはあくまで基本料金ですので、その他に薬を投与するのであれば5,000円程度プラスでかかってしまうこともあります。

ICUにいる日数が多くなればなるほど治療費が高くなってしまうため途中で治療を諦めてしまう飼い主さんも少なくありません。清算方法は動物病院によって異なるのでICUに入れることが決まった際は料金体系を確認するようにしましょう。

気をつけるべきこと

飼い主さんはICU設備を導入している動物病院を信頼してしまうケースがありますが決してそうではありません。次のようなことを検討しなければかえって辛い思いをしてしまうこともあり得ます。

動物病院は人間の病院と違い保険が適用されませんので高額な治療を請求されることがあります。そのため患者の心理を逆手にとってICUに無理に入れさせる動物病院も残念ながらありますので気をつけるようにしましょう。

導入しているから良い病院ということではない

ICUを導入しているからといって良い病院であるとは限りません。良い動物病院であればICUに入れた場合どのような治療を行うかを説明してくれます。治療方針が具体的な病院を選ぶようにしましょう。

ICUは温度や酸素濃度を調整できても数時間に一度様子をチェックする必要があります。定期的にチェックする人員がいなければ容体が急に悪化してそのまま命を落としてしまうことがありますので、利用をする際は24時間チェック体制ができている動物病院にしましょう。体制ができていなければ管理がずさんな可能性があるので危険です。

ICUを取り入れている病院の多くは緊急外来にも対応している動物病院が多いため、24時間常にスタッフが常駐しています。このような動物病院をなるべく選ぶようにしてください。

生命保障をする機器ではない

ICUは必ず命を救うための設備ではありません。状態の悪い犬、猫を救う確率をあげるための設備ですので、命を落とすこともあり得ると認識をした上でICUに入れるかどうかを検討しましょう。

もちろん、動物病院で一命をとりとめても退院後に容体が悪化して死んでしまうケースもあります。飼い主さんの中にはICUのことをよく理解しないまま利用して動物病院とトラブルになってしまうことがあります。ICUは費用が高く必ずしも病気が完治するわけではありませんので、それらのリスクを承知した上で検討しましょう。

まとめ

ICUは動物の容体が悪化した時に活躍する頼もしい設備です。動物病院の中にはICUを取り入れている動物病院もありますので利用をする際に検討してみてください。

「多摩獣医科病院」では提携病院がありICUの必要がある動物は提携病院に紹介することも可能です。飼い主さんの希望に合わせて治療方針を検討しますので、緊急性のある場合や重篤の場合は遠慮なくご相談ください。