多摩獣医科病院のブログ

動物病院の歯科で適切な治療を受けるためのチェックポイント4つ

動物病院の歯科で適切な治療を受けるためのチェックポイント4つ

 

ペットに歯の治療を受けさせるため歯科がある動物病院に行きたくても、きちんとケアしてくれるところか分からないと不安な方は多いでしょう。今回は動物病院の歯科の良し悪しを見分けるポイントを4つ紹介します。

麻酔に対する理解度が深い

動物の虫歯や歯周病、歯石除去などの治療では、全身麻酔を伴うケースがあります。麻酔に対する理解度が低い動物病院は避けるべきでしょう。

治療中に動物が暴れることや、痛みで苦しみ過ぎてしまうと、治療する側にとっても大きな負担になります。それを防止する目的で麻酔が使われます。しかし中には、麻酔を施さずに歯石除去などの治療や、麻酔の必要がないにも関らず全身麻酔をしてしまう獣医師もいるようです。

動物病院側が麻酔を理解しているかを見分けるポイントは、全身麻酔使用の可能性がある理由やリスクなどを丁寧に説明してくれるかどうかです。同じペットでもうさぎへの麻酔は犬・猫よりもリスクが高いなど、一般人が知らない麻酔の知識を伝えてくれるかをチェックしましょう。ちなみにうさぎの麻酔関連死亡率は1.39%とされます※1。納得のいく説明が得られない場合は、治療への同意を保留し、別の病院を選ぶことも考えましょう。

歯科衛生士がいる

動物病院の中には、獣医師だけで歯科治療を行うところもあるようですが、これは不適当と考えられています。動物病院がしっかりしているかどうかは歯科衛生士がいるかどうかで見極められます。動物医療の現場では、まだ歯科治療に対する理解が進んでいないとされており、歯科衛生士の協力が不可欠だからです。

ペットに対する歯科治療は「とりあえず抜歯」を常識としており、その必要がない症状に対しても抜歯で解決しようとする獣医師が見られます。また、歯科治療に伴う感染症対策や消毒が雑な病院も多いとされます。

もちろん適切な動物の扱い方や医療行為の大部分を学んでいる獣医師も多いですが、動物の虫歯などが統計的に少ないとされる関係上、歯の治療に対するモチベーションは獣医業界では高くないと考えられています。

獣医師による動物の歯の治療の間違いを極力防ぐためには、歯科衛生士のサポートが必須なのが実情です。上記の理由から歯科衛生士がいないのに歯科を扱っている動物病院は、ペットを飼っている人にとって避けるべきでしょう。

安易に抜歯を選ばず、柔軟なプランを提示する

獣医業界は歯の治療に対する理解がまだまだ進んでおらず、抜歯の必要がないのに抜歯してしまう獣医師もいるようです。安易に動物病院を選ばず、柔軟な治療法を提示してくれる医師を見極めましょう。

歯や周辺の見た目だけで判断せず、レントゲンや歯周ポケット検査のプロービングなど深く分析できる検査を施してくれる病院を選びましょう。治療でも抜歯は最後の手段とすることが正しいとされます。前段階として、歯石除去であるスケーリング、研磨などのポリッシング、歯根表面を平滑化するルートプレーニング、歯を抜かずに修復する治療などがあります。

安易に抜歯を選ばず、ペットの歯の状態を多角的に分析し、歯を抜かない治療法を提案してくれる医者だけを選んで治療に同意しましょう。

病歴聴取や身体検査など治療準備が丁寧

動物の治療は人間以上にデリケートさが求められます。動物は言葉を話せないので、正しく症状を突き止めるには丁寧な検査や配慮が必須です。

事前検査を適切に行ってくれるかどうかをチェックしましょう。歯科の場合、レントゲンやプロービング検査などで見た目では分からない部分まで確かめてくれるかが重要です。検査結果に基づいて治療方針を打ち合わせますが、ここでも抜歯などの安易な方法を選ばず、飼い主の希望や検査結果、実際にある治療法を照らし合わせる形が理想です。

術前に血液、超音波、全身のレントゲンなどで、ペットの身体に異常がないか検査してもらうのも重要です。歯科治療は麻酔を伴うので、麻酔をかけると問題が起きるような身体の異常があった場合は、そちらの治療を優先してもらいましょう。もちろん、歯科治療前には口の中を消毒してもらうことも大切です。

可能であれば、動物病院の診察台は一つだけでないほうが望ましいです。同じ診察台で複数のジャンルの治療を行っていると、動物の毛が散りやすい上、ほかの治療で使い回された器具の使用で、ペットに新たな病気を移す可能性も考えられるからです。

まとめ

動物病院の歯科の実態は、世間的にはなかなか知られていません。動物は基本的に虫歯になりづらく、獣医師の知識では歯の治療に対する理解が深くない場合も多いとされます。そのため、抜歯の必要がないペットに対して安易に抜歯を施してしまうなど、誤った治療になってしまうことも多いようです。

適切な治療が行われないことで、飼い主と病院でトラブルになる可能性もあります。これを避けるためには、事前に動物病院の情報をリサーチしましょう。歯科衛生士が常駐しているか、抜歯に頼らない柔軟なプランを提案してくれるか、事前検査や消毒などペットに配慮した治療手順や環境整備が行われているかなどがポイントです。

神奈川県川崎市宮前区にある「多摩獣医科医院」では、歯科も対応しています。それ以外にも一般外来に加え、フィラリアや狂犬病などの予防接種、避妊・去勢治療なども扱っています。最初は犬、猫、うさぎのみです。ペットの病気や避妊・去勢などでご相談がある方は当院までお問い合わせください。