多摩獣医科病院のブログ

動物病院で手術を受ける! 基本的な流れと手順について解説します

動物病院で手術を受ける! 基本的な流れと手順について解説します

 

動物病院でペットが手術を受けるとき、飼い主には知らないことが多いものです。例えば、手術の準備は何が行われるのか、実際の手術ではどのような管理が行われているのか、手術後にはどのようなことに気をつけるべきなどかなどが挙げられます。本記事では、動物病院で手術を受けるときに知っておきたい、基本的な手術の流れについて紹介します。

手術の前に行われること

術前検査

術前には動物が安全に手術できるかを検査します。具体的には麻酔に耐えることができるのか、内臓疾患などを有していないかなどを確認します。これらは血液検査やレントゲン検査、超音波検査といった機器を用いて行われます。検査結果によっては、手術が延期や中止となることがあります。

手術の説明とお預かり

手術が可能である場合には、手術の方法や麻酔・合併症に対するリスクの可能性などについての説明が行われます。説明の中で不明な点や疑問な点があれば、このときに聞くようにしましょう。その上で手術を選択した場合、ペットを動物病院へと預けます。

術前準備

術前の準備では、点滴のための血管確保・鎮静薬等の準備を行います。動物の状態によっては、手術の数日前から点滴を行うこともあります。また、人間の手術と同じように絶食・絶水しておくことが必要です。これは、麻酔がかかった状態で胃の内容物が逆流し、気管に入ることで窒息しないようにするためです。

手術中に行われること

麻酔

動物の年齢や体調に応じて、麻酔薬や麻酔量を調整して投与されます。麻酔といえば注射などで行われるイメージを持ちますが、ガス麻酔(吸入)で行われます。これは、麻酔薬をガス状にしてチューブを通じて肺に送り、眠らせるものです。ちなみに、動物では基本的に全身麻酔を用いられます。

手術中の管理

まず、手術中に動物の状態が急変しないように、モニター管理を行います。例えば、心電図モニターと呼ばれる機器では、心臓の状態をリアルタイムに把握します。これにより、手術中の不整脈を把握し、対処ができます。手術中の管理には、ほかにも体温・呼吸・血圧などがあります。

次に、手術中の動物には点滴が行われます。その目的はさまざまですが、例えば麻酔がかかっていることによる血圧低下の防止が挙げられます。これは輸液ポンプという機器を用いることで、全自動で管理が行えます。

手術

手術できる状態が整った後、手術に取り掛かります。まず、毛刈りと消毒を行い、手術する部位を露出します。手術を行う獣医師などは、身体を消毒し、手術用のガウンなどを着用することで清潔を保ちます。また、手術に使う機器は滅菌済みのものを使用します。

手術にかかる時間

手術にかかる時間は、手術の内容や動物の状態によって異なります。一般的な目安としては、去勢手術では5~10分程度、避妊手術であれば30~60分程度を見込んでおくと良いでしょう。ただし、手術の前後には、準備や術後管理などの時間が必要となります。実際に手術室にいる時間だけではありません。

手術後に行われること

術後管理

手術をすれば全てが終わるわけではありません。手術後には、動物の状態や手術内容に応じて、持続点滴・抗生剤・鎮痛薬の投与が行われます。また、手術によって動物の体温は低下してしまうため、ヒーターや保育器を用いて身体を温めるようにします。もちろん、手術直後には手術中と同様に全身状態をモニターしています。

入院

去勢手術や歯科処置であれば、当日のお迎えが可能な場合がほとんどです。しかし、メスの避妊手術やそのほかの複雑な手術においては入院を必要とする場合もあります。もちろん、動物の回復の程度によっては、通常では入院とならないような手術でも、入院となることがあります。入院は動物にとって大きなストレスになるため、できるだけ短く設定されます。

また、入院期間は飼い主と相談の上で決定します。ただし無理して早く退院することが、時には動物の回復を妨げ、体調不良につながります。その結果、再入院が必要になってしまうこともあります。回復に向けた最善の配慮が必要な段階です。

抜糸

手術において、メスが入った部分は縫う必要があります。縫った部位は皮膚などが癒着するまで時間を必要とします。そのため、手術後数日経ってから抜糸となります。抜糸は多くの場合では7~10日後頃を目安に行います。具体的なスケジュールについては、手術前に行われる説明で確認しておきましょう。

まとめ

動物病院で手術の基本的な流れを理解できたでしょうか。ペットの手術は大きな出来事であるため、不安や疑問は必ず生じるものです。そのため、手術前後に行う説明では、その不安や疑問をぜひとも聞いてください。また、手術に関わる説明は、一度聞いただけでは理解することが難しいです。気兼ねなく説明を求めてください。

「多摩獣医科病院」では、避妊、去勢の手術を行っております。重症の場合や万が一の場合には集中治療室も完備していますので、安心してお預けいただけます。また、当院では歯科処置にも力を入れています。診察対象は主に犬、猫、うさぎですが、そのほかの小動物に関してもお問い合わせください。