多摩獣医科病院のブログ

動物病院の入院について。どんなときに入院する? どんな部屋があるの?

動物病院の入院について。どんなときに入院する? どんな部屋があるの?

 

病院への入院は、私たち人間にとってもできればしたくないことです。とはいえ、人により入院は嫌でもしないといけないときがあります。それは人間に限らず、犬や猫など動物でも同じことなのです。本記事は、飼育している動物たち(主に犬や猫の場合)に入院が必要になるのはどういうときか、入院するときの注意事項は、といった疑問についてご説明いたします。

動物病院の入院について

入院はどのような場合にする?

まず、入院がどのようなときに必要になるかといえば、これは人間と同様に「通院では対処できない処置を行う場合」です。問診や検査などの結果により、そのような処置が必要と判断した場合に入院を飼い主に提案することがあります。薬の投入を続けて行わなければならない場合や点滴、検査を続ける必要がある場合などが挙げられます。ほとんど人間が入院するときと変わりません。

上記以外には、経過観察が必要な場合があります。代表的なのは全身麻酔の後などです。全身麻酔の後は、動物が元気でも入院が必要なことがあります。一般的に多いのはメスの避妊手術の後です。

このようなケースの場合、動物がいくら元気そうに見えてもきちんと経過観察をしなければ命に関わる事態になることもあります。また、飼い主のあらゆる事情により何度も通院するのが困難だから入院する、といった例もあります。何度も通院するのが難しい場合、担当の獣医さんと相談をしてください。

どのような場合であったとしても最終的に動物をその病院に入院させるか、させないかを決めるのは飼い主です。獣医の説明をよく聞き、入院が必要な理由をしっかりと理解するようにしてください。

入院した動物はどのような部屋に入るの?

動物たちが入院をする入院室について説明をいたします。動物が入院する部屋の種類は一般入院室、ICU入院室、隔離入院室などがあります。

一般入院室は病院によっては、犬や猫が分かれて入院ができる病院もあれば、どちらも同じ部屋に入れられる病院があります。これは動物病院の経営状態や施設の大きさによって異なります。ICU入院室は、集中治療室とも呼ばれています。ここでは酸素管理や温度管理を行っています。ICU入院室は重症疾患の動物が入る入院室なので、もし動物に何かがあってもすぐに対応できるように、ほとんどの場合が病院スタッフの目の届く場所にあります。

隔離入院室は、伝染病にかかってしまった動物が入院する部屋です。ほかの部屋に伝染病の病原菌がうつってしまわないように管理されています。隔離入院室がないと、ほかの動物の伝染病がうつってしまう可能性があるのでその病院での入院は止めたほうがいいでしょう。

動物病院に入院した場合の食事について

入院したら、一体どういった食事が与えられるのか。飼い主さんであれば気になるところです。しかし、入院中の食事も治療のうちの一つなので、病気や症状に合わせたご飯を与えてくれます。

「うちのペットは偏食があるからとても心配……」と思う方もいらっしゃるかと思います。病気に対して問題がなければ、いつもあげているフードを飼い主さんに持ってきていただき、入院中にあげる病院もあります。その一方で、入院をきっかけに苦手な食べ物を克服して、偏食がなくなったという事例もあります。

食事が摂りにくいといった症状がある場合は、動物がきちんと食事を摂れるように獣医がお手伝いをします。

入院する動物がよりリラックスできるために

動物は、初めて入る場所で飼い主さんと離れて入院します。どんなにストレスを感じにくい子だとしても、多少なりともストレスはあると考えています。

動物の症状によっては衛生上、持って行けない場合もありますが、担当の獣医さんに「普段からこの子が使っているタオルや毛布などを持って行っていいですか?」と聞いてみてください。初めての場所に来て緊張している上に、近くからはほかの動物の不安そうな鳴き声が聞こえ、その中で点滴をされたり、場合によってはエリザベスカラーという動物にとっては訳の分からないものをつけられたりもします。

「えっ? これから一体どうなるの? これ以上、何かされるの?」と、怖い気持ちで一杯なことでしょう。そんなときに、少しでも我が家の匂いがあれば落ち着けます。そのため、入院時に病院に持ち込んでよいものを聞いておきましょう。

病気の予防のために

動物の病気を予防するために大切なことについて、犬を例に挙げて解説します。

犬の感染症は多くありますが、その中のうちいくつかは予防接種によって防ぐことができます。ワクチンには種類があり、「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」があります。コアワクチンとは、犬にとって危険で死に至る可能性もある病気に対するワクチンです。ですから全ての犬が接種すべきと考えられています。例えば狂犬病の予防接種がコアワクチンの分類です。狂犬病の予防接種は、日本では義務になっています。

対してノンコアワクチンは、特定の地域で病気が流行しているなど感染する可能性がある場合に接種が望まれるワクチンです。

ワクチンは病気の予防に大事なことですが、稀にワクチンの接種後にアレルギーを発症する犬もいます。そして非常に稀ではありますがアナフィラキシーショックという、命に関わるような反応が起こる場合もあるのでワクチン接種後15分から30分は接種した病院内で犬の様子を見るのがいいでしょう。

まとめ

動物病院の入院について命に関わる事例も説明したので、不安になってしまうかもしれません。しかし、大事なペットの命を預かることに対して、それだけ厳密な対応を考え、講じているものと捉えていただければ幸いです。

もし、飼われているペットにご心配なことがありましたら、「多摩獣医科病院」までお越しください。定休日は水曜日、祝日はお休みですのでお間違えないようお気を付けください。