多摩獣医科病院のブログ

ペットの病気を予防するためには?いつまでも健康でいてもらうために

ペットの病気を予防するためには?いつまでも健康でいてもらうために

 

ペットを飼っていると、愛する犬や猫を病気から守りたいと考えるでしょう。動物や飼い主が病にかからないためには、ペットへの予防接種も大切です。

 

本記事では予防接種が重要とされる4大病などを踏まえ、予防接種のスケジュールや受ける方法を紹介します。これを読むことで予防接種の大切さや手順がわかり、いざというときに備えられるでしょう。 

ペット関連の感染症のリスクとは

人間だけでなくペットが関係する感染症にも気をつけなければなりません。この章ではペット関係の病気のリスクを説明します。 

 

動物から病原体が出回ることもある

感染症などの病気には動物が広めてしまうこともあります。これを動物由来感染症と呼びます。犬や猫などに噛み付かれたり引っかかれたりした傷から病原体が侵入し、人や動物の健康を害します。

 

動物由来感染症を防ぐには、一緒に寝たり、口移しをしたりしないよう注意しましょう。動物に触れたあとは手洗いうがいを徹底したり、小屋やトイレを清潔に保ったりすることも大切です。

 

ペットが舐めた食器やスプーンを人間が使うことでも感染が起きる可能性があります。人間とペットが使う道具は完全にわけましょう。 

 

人に感染すると命に関わることも

動物由来感染症も多様で、命に関わるものもあります。たとえば犬や猫から傷を受けると、そこが腫れてしまうパスツレラ症があります。症状によっては化膿症や肺炎につながることもあるようです。 

 

致命的なものには狂犬病があり、発症するとほぼ100%死亡するともいわれています。以上のことから予防接種は飼い主やペットの命を守る優先事項とされます。 

 

ペットに大切な4大予防接種 

全国の動物病院で予防接種を展開しており、特に行うべき4大予防接種があります。病気の種類を通して予防接種の大切さを学びましょう。

 

狂犬病

狂犬病は犬以外のほとんどの哺乳類動物に感染することがあります。犬や人が発症した場合は死亡率が100%に近いともいわれており、予防接種は必須でしょう。

 

生後90日は日本国内での蔓延を防ぐべく狂犬病ワクチンの接種が法的に義務となっています。接種が済んだら市区町村への登録を行わなければなりません。

 

その後も年1回ペースで接種を繰り返すこと必要があります。 

 

混合ワクチン

複数種類の病気を同時に予防するワクチンがあります。混合ワクチンによる予防接種で防げる病気はジステンパーウイルス、伝染性肝炎、犬パラインフルエンザなどです。

 

6種類を防げるものと8種類を対象とした2パターンの混合ワクチンがあります。8種類予防の混合ワクチンしか効かない病気には、尿などで汚れた川などから感染するレプトスピラ症などがあるので、通常は8種類が推奨されます。しかしあまり外に出さないペットなら6種類で充分とも考えられます。

 

フィラリア

フィラリアはペットが蚊に刺されることで発生する寄生虫系の病気です。主に犬が受けやすく、心臓や肺動脈に寄生虫が棲みつくことから、息切れや咳などの症状が現れ、重度だと命に関わります。

 

フィラリア予防は複数のタイプを有するのが特徴で、一般的な注射に限らず、飲み薬による摂取やスポットによる注入でも可能です。針を嫌がるペットでもスムーズに予防接種を進めやすい特徴があります。 

 

ノミやダニ

ノミやダニは外に限らず室内でも見かけるので、ペットによってはここからアレルギー反応を起こす可能性もあります。マダニという危険生物にも注意です。草むらなどに潜みペットの体に寄生し、貧血や栄養障害などを起こし、命の危機を引き起こすこともあるからです。

 

予防接種には飲み薬とスポットという2種類の方法があります。薬によってはフィラリア予防にも同時に役立つものがあります。 

 

予防接種のスケジュール

狂犬病対策のワクチンは生後90日以内の1回目から、1年に1度のペースで受け続けることが大切です。混合ワクチンも年1回の接種が推奨されます。

 

フィラリアは4月に血液検査を行い、5~12月の間に予防を施すのがセオリーとされます。ノミは1年中、ダニは3月下旬~12月下旬の対策がすすめられています。ただしノミ・ダニをセットで予防する薬が流通しているので、こちらも1年に1回が原則でしょう。

 

同時接種によるアレルギー反応に注意

面倒だからといっても狂犬病対策と混合ワクチンの同時接種は推奨されていません。薬によるアレルギー反応を起こしたときに原因が特定できなくなるからです。この2つの接種時期は離した方が賢明でしょう。

 

一方でフィラリア・ノミ・ダニを同時対象としたオールインワン予防薬があります。フィラリア予防薬とノミ・ダニ用の薬を同時に飲ませてアレルギー反応が出ると原因特定が難しくなるので、オールインワンが考えられます。それでも飲ませる時期は狂犬病対策や混合ワクチンから離した方がよいでしょう。

 

予防接種はペット保険対象外なので注意

狂犬病対策の薬や混合ワクチンを接種させるために動物病院を訪れる人もいるようですが、このような予防接種はペット保険対象外なので注意しましょう。

 

ペット保険のルールでは、病気やケガの治療だけが対象です。予防接種は健康体に施す関係から治療とは意味が異なるとされます。予防接種の予算を備えられるように、ペット保険の決まりをあらかじめ見直しておきましょう。 

 

まとめ 

犬や猫などペットに対する予防接種は、狂犬病やフィラリアなど感染系の病気を防ぐうえで必要とされます。特に狂犬病の予防接種は法律で義務となっています。面倒だからといってスルーせず、スケジュールを定めて病気対策を施してもらいましょう。

 

「多摩獣医科病院」でも犬、猫、うさぎの予防接種を扱っています。狂犬病、混合ワクチン、フィラリアなどさまざまな種類の病気対策に対応していますので、ご希望の方は当院までご相談ください。 

 

一部参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000155663.html(狂犬病死亡率について)